すべての借金を0にできる自己破産とは?
■もくじ
自己破産とは?
自己破産とは債務整理のひとつで、債務者が支払不能になった場合に裁判所に破産申立書を提出し、免責許可がおりることで、養育費や税金などの非免責債権以外の、すべての借金の支払い義務が免除される手続きです。
自己破産の手続きは「破産手続き」と「免責手続き」に分けられ、「破産手続き」は、生活するのに必要最低限の財産(原則20万円未満の財産)以外の自分の財産を換価(現金化)し、それを債権者に公平に返済する手続きです。
「免責手続き」は、破産手続き後も借金がまだ残っている場合に、免除してもらう手続きです。一般的にこの2つの手続きの流れを自己破産といいます。
自己破産には2つの種類がある
自己破産は「管財事件」と「同時廃止事件」の2つの種類があります。この2つは、財産や免責不許可事由の有無によって異なります。ここでは、2つの違いを解説します。
管財事件
管財事件は自己破産の基本形で、原則として20万円以上の財産がある場合や、免責不許可事由がある場合は、管財事件として扱われます。
管財事件は、破産管財人が裁判所から選任され手続きがおこなわれます。手続きにかかる期間も長く、裁判所に納める予納金も多額になります。
同時廃止事件
配当すべき財産がない場合は、同時廃止事件として扱われます。同時廃止事件は、破産管財人が選任されず、破産手続きの開始と同時に手続きが廃止(終了)されます。
同時廃止事件として扱われた場合は、破産手続きにかかる期間がなく、費用も安くすみます。
個人が自己破産をする場合は、財産がないことが多いのでこちらの同時廃止事件として扱われることが多いです。
自己破産ができる条件
自己破産をおこなうには、以下の3つの条件があります。
- 支払不能である
- 過去7年以内に免責許可を受けたことがない
- 免責不許可事由にあたらない
支払不能である
まず支払い日に借金を支払うことができない状態であることが必要です。まだ支払い日がきていない借金は、支払不能と判断されません。
また、支払いができていない状態が継続的に続いている必要があります。一時的に支払いができない状態は支払不能ではありません。
そして、客観的に見て支払いができない状態か判断される必要があります。
過去7年以内に免責許可を受けたことがない
過去7年以内に免責許可を受けたことがないことも条件になります。ただし、過去7年以内に免責を受けている場合でも、具体的な事情を考慮し免責が認められるケースもあります。
免責不許可事由にあたらない
自己破産は、裁判所によって免責を許可してもらうことで借金をゼロにできますが、免責不許可事由がある場合は、免責が許可されないケースもあります。
免責不許可事由には以下のものがあります。
ギャンブルや浪費
自己破産をするには、裁判所に対して借金をした理由を提出し、自己破産をするのに妥当な理由かを判断してもらわなければなりません。
借金をした理由が正当な場合は自己破産をすることができますが、ギャンブルや浪費が原因の場合は自己破産をすることができません。
一部の財産を隠している
破産手続きが開始されると、自己破産を申し立てた方が所有している財産は、すべて借金の返済に充てなければなりません。そのため、一部の財産を隠す行為は当然許されません。
そのような行為があった場合は、自己破産ができなくなってしまうのでご注意ください。
換金行為
破産手続きを遅らせるために、クレジットカードの現金化などの換金行為をおこなった場合は免責不許可になります。
換金行為を破産申し立ての直前におこなった場合は、手続開始決定も遅れてしまうので、破産手続きを意図的に遅らせていると判断されてしまいます。
特定の債権者に返済している
自己破産はすべての債務を0にできることから、債権者平等の原則があります。この原則から、特定の債権者だけを優遇して返済することは許されません。
特定の債権者だけに返済をしてしまうと、他の債権者に対して不公平になってしまうので、免責不許可になります。
- 免責されない債務
- 自己破産の目的は借金をゼロにすることです。そのため、自己破産で免責が認められるものは借金です。税金・罰金・損害賠償・養育費などの借金以外の債務は自己破産をしたとしても免責にはなりません。
- まず、税金や罰金などがあります。これらは、自己破産とは関係なく支払うべきものであるので、免責にはなりません。次に、不法行為に基づく損害賠償も免責にはなりません。
- 損害賠償を免責してしまうと、本来支払わなければならない治療費なども免除されてしまうので、加害者の方が得をしてしまうことになってしまいます。
- このような事態を避けるため、損害賠償は自己破産しても免責されません。他にも養育費も免責されない債務となっています。
自己破産のメリット・デメリット
自己破産のメリット
- 自己破産のメリット
- 借金がすべてなくなる
- 貸金業者からの督促や取り立てが止まる
- 必要最低限の財産は残せる
- 自己破産後に得た財産は自分で管理できる
借金がすべてなくなる
自己破産の最大のメリットは、すべての借金がなくなることです。手続き後の返済がなくなるので、人生の新たなスタートをきることができます。
貸金業者からの督促や取り立てが止まる
司法書士や弁護士などの専門家に依頼することで、貸金業者からの督促や取り立てを止めることができます。
複数の貸金業者から取り立てや督促がある場合は、専門家に依頼して手続きをおこなうことをおすすめします。
必要最低限の財産は残せる
自己破産をするとすべての財産もなくなってしまうと思われている方も多くいますが、実際は家財道具や生活するのに必要最低限の財産は残すことができます。
自己破産をしたからといって生活ができなくなることはありませんのでご安心ください。
自己破産後に得た財産は自分で管理できる
自己破産をすると一定の財産は処分されてしまいますが、自己破産後に得た財産は、自分で管理することができます。
自己破産のデメリット
- 個人再生のデメリット
- 財産が処分される
- ブラックリストにのる
- 資格制限がある
- 官報にのる
財産が処分される
すべての借金をなくすことができる自己破産ですが、同時に一定水準以上の財産もすべて処分されてしまいます。
処分される基準は、住宅や自動車、20万円を超える財産、99万円を超える現金です。
この基準を超えないものは、手元に残すことができます。例えば、家具で換金した場合に20万円以上になるものは少ないため、自己破産後もこのような家具は残すことができます。
ブラックリストにのる
自己破産をすると他の債務整理と同様、ブラックリストにのります。ブラックリストにのる期間は、原則5~10年です。
この間は、新たな借入れやクレジットカードの作成、ローンを組むことができなくなります。ただし、一定期間が過ぎればブラックリストから削除されるので、新規の借入れやクレジットカードの作成などできるようになります。
資格制限がある
自己破産をすると手続きの期間中は、一定の職業につくことができない資格制限があります。手続期間の数か月~1年程度は一定の職業につくことができませんのでご注意ください。
- 資格制限がかかる職業
- 弁護士、司法書士、行政書士、税理士、社会保険労務士、公認会計士、弁理士、中小企業診断士、公証人、証券会社外交員、宅地建物取引業者、不動産鑑定士、質屋、古物商、風俗営業者、生命保険募集人、損害保険代理店、警備員、建設業者、遺言執行者、後見人、保佐人、教育委員会委員、旅行業者、生命保険の募集人など。
官報にのる
自己破産をすると、国が発行している機関紙である官報にその事実が掲載されます。自己破産をした場合、住所と氏名が官報にのります。
官報は誰でも読むことはできますが、一般の方で読んでいるケースはほとんどなく、読んでいるのは特定の職業についている方です。
そのため、官報にのったからといって家族や知人にバレてしまう可能性は低いです。ただし、職業によっては読んでいる場合もありますのでご注意ください。
自己破産についての誤解
自己破産は債務整理の中でも、よく耳にする手続きですが、多くの誤解もあります。ここでは、自己破産についての誤解を解説しています。
正しい知識を持って自己破産をおこなってください。
自己破産についての誤解1 財産がすべて処分されてしまう
自己破産をおこなうと、財産がすべて処分されてしまうと思われている方は非常に多いです。しかし、自己破産で処分される財産は、住宅や自動車、20万円を超える財産、99万円を超える現金です。
家具などの換金しても20万円以上にならないものや、99万円以下の現金は手元に残すことができます。自己破産をしたからといって生活ができなくなるということはありませんのでご安心ください。
自己破産についての誤解2 賃貸ができなくなる
賃貸マンションや賃貸アパートなどを借りられなくなるという誤解もありますが、あくまでも賃貸ができなくなってしまうのは、信販系の会社が関わっている物件です。
信販系の会社が関わっていない物件に関しては、借りることができます。
自己破産についての誤解3 選挙権がなくなる
自己破産をすると選挙権がなくなるという誤解もありますが、このような制限はまったくありません。
自己破産についての誤解4 戸籍謄本や住民票にのる
自己破産をすると、ブラックリストにのることから戸籍謄本や住民票にも、手続きをしたことがのってしまうという誤解もあります。
自己破産をするとブラックリストにはのってしまいますが、戸籍謄本や住民票にはのりません。ただし、自己破産をおこない免責されなった方は、本籍地にある破産者名簿にのります。
破産者名簿は役所が管理している書類で一般公開はされてないので、家族や知人が見ることはありません。
自己破産についての誤解5 海外に行けなくなる
自己破産の手続き期間中は、海外に行くことはできませんが、破産後は海外に行くことはできます。
自己破産の流れ
1.お問い合わせ・相談
フリーダイヤル、またはメールにてお問い合わせ後、当事務所の司法書士と一度お会いしていただき面談します。
2.受任通知の発送
当事務所にご依頼いただけた場合、当事務所から貸金業者に対して受任通知を送ります。
貸金業者が受け取った時点で、すべての連絡の窓口は当事務所になりますので、ご本人様に連絡がいくことはなくなります。
3.債務調査
貸金業者から資料を取り寄せ、借金の詳細について調査します。
4.方針決定
調査結果をもとに、ご本人様の生活状況に応じて、今後の方針を決めていきます。
5.申立準備・申立
ご本人様の財産や家計を再確認し申立書類を作成し、裁判所に申立書を提出します。
6.開始決定
裁判所が自己破産の手続きを進めることを許可します。
7.破産管財人選任
裁判所によって、破産管財人が選任されます。同時廃止事件の場合は、破産管財人は選任されません。
8.許可決定
提出された資料をもとに、裁判所から借金の免責許可がでます。この許可に貸金業者などの債権者から反対がなければ、借金の免除が確定します。
当事務所の自己破産の費用
相談料 | 0円 |
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着手金 | 11万円 |
※その他の費用は、お客様の状況によって変わります。お気軽にお問い合わせください。
※実費は別途必要となります。
自己破産についてよくある質問
自己破産 よくある質問1
Q:自己破産以外に借金を減額する方法はありますか?
A:借金を整理できる債務整理には、自己破産以外に任意整理や個人再生などがあります。自己破産は債務整理の中で最終手段の手続きになります。借金の状況によっては、自己破産を避けて他の債務整理で解決できるケースもあります。
自己破産 よくある質問2
Q:自己破産をすると財産はすべて処分されてしまいますか?
A:多くの方が誤解されていることですが、自己破産をして処分される財産は、住宅や自動車、20万円を超える財産、99万円を超える現金です。これらの基準に満たない財産は手元に残すことができます。
自己破産 よくある質問3
Q:家族に内緒で自己破産をすることができますか?
A:当事務所では、可能な限り家族や知人など周囲の方にバレないように手続きを進めておりますが、自己破産の場合、住宅や自動車などの財産はすべて処分されてしまいますので、その段階でバレてしまう可能性が高いです。
自己破産 よくある質問4
Q:税金の支払いを滞納してしまっているのですが、自己破産をすると支払いは免除されますか?
A:税金は自己破産の対象外なので免除されません。自己破産の対象になるのは借金のみです。税金や罰金、損害賠償、養育費などは自己破産をしても免除されませんのでご注意ください。
自己破産 よくある質問5
Q:自己破産と個人再生の違いはなんですか?
A:自己破産と個人再生の違いは、個人再生は住宅を残して手続きができる点と、手続き後も原則3年間は返済が続くことです。自己破産は、住宅を残すことができませんが、すべての借金をゼロにすることができます。