過払い金の返還額はいくら?取引履歴の取り寄せ方と引き直し計算について

過払い金請求をするには、過払い金がいくら発生しているか調べるための計算をしなければなりません。この計算を引き直し計算といいます。

取引期間が長い場合や、貸金業者の数が多い場合は、計算は複雑になります。計算を間違えてしまうと、過払い金が減ってしまうリスクがあります。当事務所では、無料で過払い金の計算をおこなっていますのでお気軽にご利用ください。

引き直し計算に必要なもの

引き直し計算をおこなうには取引履歴とエクセルが使えるパソコン、過払い金計算ソフトが必要です。計算をするにあたりまずは取引履歴を貸金業者から取り寄せます。

取引履歴とはこれまでの取引が記載されている書類です。取引履歴は以下の方法で取り寄せることができます。

取引履歴を取り寄せる方法

電話で取り寄せる方法

手軽に取り寄せることができるのが、電話で取り寄せる方法です。ホームページ上の問い合わせ先に電話をかけて履歴がほしい旨を伝えると、本人確認のために住所氏名や生年月日などの質問をされます。

本人確認が取れたら自宅宛の郵送や指定支店での手渡しなど、発行方法を聞かれますので、ご希望の発行方法を伝えてください。

インターネットで取り寄せる方法

インターネットで取引履歴の請求をすることも可能です。ただし、実際の請求は郵送や店舗に提出をしなければならないのでご注意ください。

手順としては、貸金業者の公式サイトから開示請求書をダウンロードして、必要事項を記入した上で本人確認書類と共に郵送または店舗に提出します。

店頭で取り寄せる方法

店頭で取り寄せる場合は、比較的スピーディで手続きも簡単です。開示請求書と本人確認書類と共に提出するだけです。

ただし、店舗ですぐに履歴を出してはもらえません。他の方法と同じく、1ヶ月以内に郵便や支店で受け取ることになります。

代理で取引履歴を取り寄せる方法

利用者が被後見人で後見人が請求する場合など、やむを得ない事情で本人以外の法定代理人が履歴を取り寄せることもあります。この場合は、戸籍謄本や後見人開始審判書など、法定代理人であることを証明する書類が必要になります。

また、本人から委任を受けた代理人が履歴の請求をする場合には、本人の委任状や本人確認書類、電話などによる履歴請求の確認などを要求されます。基本的な請求手続きは電話やネットなどの方法と共通しています。

取引履歴が手元に届くまでどのくらいかかる?
電話やインターネット、店舗での直接の手続きなど、取引履歴の取り寄せ方には方法がいくつかありますが、どの手続きの場合でも郵送か店舗で受け取ることになります。
取り寄せる方法によって、届くまでの日数に差があるということはありません。個人で取り寄せる場合は、約1ヶ月ほどで届くことが多いです。しかし、時効が近い取引がある場合は、あえて時間をかけてくるケースもあるので注意が必要です。
司法書士や弁護士などの専門家からの依頼だとスピーディに対応してもらえるため、1~2週間程度で取り寄せることができます。時効が近い方は専門家に依頼することをおすすめします。

取引履歴を取り寄せるときの注意点

貸金業者から個人で取引履歴を取り寄せる際には、注意すべき点がいくつかあります。中には、過払い金の返還額に関わってくる重要な注意点もあるのでしっかりチェックしておきましょう。

取引履歴が届くまで時間がかかる場合がある

取引履歴は「請求された日から○○日以内に渡さなければならない」といった明確なルールは存在しません。貸金業者は、弁護士や司法書士などの専門家からの依頼を優先するため、個人の依頼は後回しにする傾向があります。

そのため、目安の1ヶ月が経過してもなかなか届かないケースもあるようです。時間がかかることで、時効が成立してしまい過払い金が請求できなくなるといったリスクもありますのでご注意ください。

取引履歴の利用目的を聞かれたら注意

過払い金の返還は貸金業者にとっては損失になってしまいます。貸金業者側としては、できれば過払い金請求をされないようにしたいため、取引履歴を取り寄せる際に「取引履歴の利用目的」を聞かれることがあります。

ここで注意が必要なのが利用目的を「過払い金計算のため」と伝えると過払い金請求ができなくなってしまう可能性があります。

そのため、取引履歴の利用目的を聞かれた際は、「借入の内容を確認するため」と答えるようにしてください。

ゼロ和解の提案があった場合は注意

「ゼロ和解」とは、「過払い金の支払いをしないかわりに、現在残っている借金をゼロにします」という提案です。

しかし、「ゼロ和解」は過払い金を支払う方が借金を帳消しにするよりも貸金業者にとって損失が大きいからです。逆に考えると、過払い金を受け取った方が、債務者にとって有利な状況だということです。

一見、債務者にとって好条件に見えても実は貸金業者だけが得をする提案だということをしっかり理解し、ゼロ和解にはのらないように注意してください。

無料で使える過払い金計算ソフト

取引履歴を取り寄せたら引き直し計算を始めます。引き直し計算をするには取引履歴の他に「エクセルが使えるパソコン」「過払い金計算ソフト」が必要になります。過払い金計算ソフトは下記の無料で使用できるソフトを利用してください。

名古屋消費者信用問題研究所

URL:http://www.kabarai.net/

名古屋式と呼ばれる計算方法のソフトです。1行ごとに取引日や借入額、返済額を入力すれば自動で計算され、過払い金の発生額がわかります。

アドリテム司法書士法人

URL:http://www.adlitem.or.jp/software/

外山式と呼ばれる計算方法のソフトです。取引日や借入額、返済額を入力し転記ボタンを押せば自動的に計算され、過払い金がいくら発生しているかわかります。

準備ができたらまずは、過払い金が発生する取引なのか確認します。過払い金はグレーゾーン金利で取引をしていた場合に発生します。

グレーゾーン金利とは、利息制限法の上限金利と出資法の上限金利の差分です。利息制限法の上限金利は以下のとおりです。

借入額 上限金利
10万円未満 20%
10~100万円未満 18%
100万円以上 15%

取引履歴に記載されている金利が、上記の金利内の場合は過払い金は発生しません。グレーゾーン金利での取引があった場合は計算をします。

引き直し計算のやり方

引き直し計算は、グレーゾーン金利を利息制限法の上限金利に置き換えて計算します。まずは例を見てみましょう。例えば、100万円を金利29%で借りていたとします。

29%の金利の場合は、1年間で29万円の利息が発生します。利息制限法の上限金利に置き換えると、100万円の場合の金利は15%なので1年間で15万円の利息が発生します。

この例では、1年間の利息の差が14万円になります。この14万円が過払い金になります。このように今まで支払っていた利息から、利息制限法の上限金利で計算した利息を引くと、過払い金の金額を出すことができます。

実際の計算では、金利や日付、返済額などを過払い金計算ソフトに入力していく作業をします。この入力をミスしてしまうと、結果が大きく変わってしまう可能性があるので慎重におこなってください。

引き直し計算の注意点

引き直し計算を自分でおこなう場合は、いくつかの注意点があります。これらは過払い金請求の結果に大きく関わるので、しっかりと理解してから引き直し計算をしてください。

無料の過払い金計算ソフトは正確ではない

無料の過払い金計算ソフトは、便利な反面正確さにかけることもあります。閏年の計算や端数調整など、ソフトによって計算方法に違いがみられるだけでなく、サポートがあまり期待できません。

そのため、入力ミスがなくても引き直し計算と比べて数円~数十円の誤差が出ることがありますが、大幅な金額の開きがなければそのまま交渉や訴訟をすることが可能です。

現在も貸金業者に返済中の場合

現在も、貸金業者に返済中で過払い金請求をする場合は、取り戻した過払い金は借金の返済に充てます。取り戻した過払い金が借金よりも多い場合は、借金がなくなり余った分は手元に戻ってきます。

しかし、取り戻した過払い金で借金を0にできなければ、ブラックリストにのってしまうというリスクがあります。こうしたリスクを避けるためにも、引き直し計算は慎重におこない確実に借金を0にできるか確認することが重要です。

同じ貸金業者で完済と借入を繰り返している場合

同じ貸金業者で完済と借入を繰り返している場合は、それぞれの取引が「一連の取引」か「分断の取引」かで過払い金の金額が変わります。まずは一連の取引と分断の取引がどのようなものか解説します。

例えば、貸金業者から100万円の借入(取引A)をして一度完済し、再度同じ貸金業者から100万円を借入(取引B)をしたとします。その他の条件は、取引Aは時効が成立している。

それぞれの取引を一連の取引と考える場合は、取引Aと取引Bの2つの取引を1つの取引として扱い、分断の取引と考える場合は、取引Aと取引Bを別々の取引として扱います。

分断の取引の場合は、それぞれの取引として考えるので、時効が成立している取引Aの過払い金は取り戻すことができません。しかし、一連の取引の場合は、時効の起算日が最後に取引をした取引Bになるので、取引Aの過払い金も取り戻すことができます。

このように一連の取引として認められれば、時効の起算日が変わるので、時効が成立してしまっている過払い金も回収することができます。貸金業者との「基本契約」が2回目以降省略されている場合は、一連の取引として認められる可能性が高くなります。

ただし、一連の取引か分断の取引かの判断は、法律で明確に決まっておらず、過払い金請求の裁判で争点になりやすいポイントです。

古い取引履歴がない場合

過払い金の計算には取引履歴が必要ですが、貸金業者によっては古い履歴を開示しないことや破棄してしまっている場合があります。

貸金業者は取引履歴保管義務が10年あるので、その期間内であれば履歴は残っていますが、期間が過ぎてしまうと古い履歴は処分してしまうこともあります。例えば、レイクは平成5年10月以前の取引履歴は廃棄したとして一切の開示請求に応じません。

古い履歴が処分されていた場合は、取引履歴がない期間の取引内容を推測計算しなければならないので、計算が複雑になります。

過払い金の引き直し計算は当事務所にお任せください

引き直し計算は、自分でおこなうこともできますが、過払い金の金額が変わってしまったり、ブラックリストにのってしまうなどのリスクがあります。また、取引履歴を取り寄せたりしなければならないので、手間と時間もかかってしまいます。

当事務所では、過払い金の調査から計算まですべて無料でおこなうことができます。相談は何度でも無料ですので、お気軽にご利用ください。

過払い金請求・引き直し計算、取引履歴についてよくある質問

過払い金請求・引き直し計算、取引履歴 よくある質問1

Q:過払い金の計算に必要なものはなんですか?

A:過払い金の計算は、これまでの借金の取引履歴が必ず必要になります。他にも計算をしやすくするための過払い金ソフト、エクセルが使えるパソコンなどが必要になります。

過払い金請求・引き直し計算、取引履歴 よくある質問2

Q:取引履歴がないのですが引き直し計算はできますか?

A:できません。引き直し計算は取引履歴がないとおこなえませんので、借入れをしていた貸金業者から取引履歴を取り寄せてください。

過払い金請求・引き直し計算、取引履歴 よくある質問3

Q:取引履歴を取り寄せる際に貸金業者から「過払い金請求をしないかわりに、現在残っている借金をゼロにします」と提案されたのですがどうすればいいですか?

A:この提案は「ゼロ和解」と呼ばれ、貸金業者が得をする提案なので応じないようにしてください。また、貸金業者から取引履歴を取り寄せる目的を聞かれることがありますが、聞かれた場合はこれまでの債務を見直したいと答えてください。過払い金請求をするためと答えると過払い金請求ができなくなってしまう可能性がありますのでご注意ください。

過払い金請求・引き直し計算、取引履歴 よくある質問4

Q:引き直し計算がむずかしくなるのはどのようなケースですか?

A:同じ貸金業者で完済と借入れを繰り返しているケースや、過払い金請求をする貸金業者の数が多いケースなどが、引き直し計算がむずかしいケースになります。

過払い金請求・引き直し計算、取引履歴 よくある質問5

Q:みどり法務事務所で過払い金の計算をおこなってもらうことはできますか?

A:できます。当事務所では過払い金の調査や計算を無料でおこなっていますので、お気軽にご依頼ください。

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