明細や契約書・カードがない、借りた業者を忘れた場合でも過払い金請求はできる

過払い金請求をお考えの方で、明細や契約書、カードがない場合や借入れをした貸金業者を忘れてしまった場合は手続きができないと思っている方も多くいらっしゃいます。

たしかに金銭的なトラブルにおいては明細や契約書、カードなどの物証は重要なものになります。しかし過払い金請求においては、これらの物証は必ずしも必要なものではありません。

ここではなぜそれらのものがなくても、過払い金請求ができるのかを解説します。

明細や契約書・カードがない、借りた業者を忘れた場合でも過払い金請求できる理由

明細が残っていなくても過払い金請求ができる理由

明細が残っていなくても過払い請求ができる理由は、簡単にいえばお金の借入時の情報が、明細以外からでも知る方法があるからです。それは取引履歴の開示を貸金業者に対して求めるという方法です。

お金を借りた時の明細が手元に残っていなくても、貸金業者に対して取引履歴の開示をおこなえば、明細に記載されていた情報を取り寄せて知ることができます。

そしてこの貸金業者に対しておこなうことができる取引履歴の開示は、名前や生年月日、住所などの情報があれば簡単におこなうことができます。

またこれらの情報については、貸金業者側が業務帳簿を作成して保管する義務が法律で定められています。そしてそれらを借主側が貸金業者に対して、請求する権利なども法律で定められています。

ただし明細があると弁護士などに相談をする際に、戻ってくるお金の把握や、取引履歴の開示を依頼する手間が省けるため、過払い金請求にかかる時間が短くなりやすいというメリットはあります。

契約書が残っていなくても過払い金請求ができる理由

契約書とはその名前の通り、契約を交わしたことを証明する大事な書類です。一般的な考え方ではこの契約書がなければその契約に伴う自分の権利を証明できないので、過払い金請求時にも泣き寝入りするしかないと考えがちです。

しかし過払い金請求においては、契約書がなくてもおこなうことができます。過払い金請求において大事なのは、実際に過払い金があったかどうかを証明することです。

つまり取引履歴の開示を求めて、実際に借主と貸金業者との間に取引があったことが証明できるのならば、契約書は絶対に必要というわけではありません。また契約書がないことによって、過払い金額が減少するといったこともないので心配はありません。

カードが残っていなくても過払い金請求ができる理由

万が一同性同名で生年月日も同じ人が同時期に同じ貸金業者で借入をしていた場合、カードがなければ過払い金請求の際に本人が特定できないと思われている方もいるのではないでしょうか?

しかしそういったケースでも、個人情報により高い確率で本人を特定することができます。個人情報には住所や免許証番号など、他の人と被る心配のない情報が存在します。

したがってカードがなくても、取引履歴の開示や個人情報を駆使して本人を特定できるため、過払い金請求は可能なのです。

ただしカードが残っていれば、調べる際の手間を省くことができるので、比較的早く過払い金請求を終わらせることができるというメリットはあります。

貸金業者を忘れた場合でも過払い金請求ができる理由

明細や契約書、カードなどがない場合は、貸金業者に連絡をして取引履歴を取り寄せることで、過払い金の計算ができます。

しかし、そもそもどこの貸金業者から借入れをしたか忘れてしまった場合は、取引履歴を取り寄せることができません。このような場合はどうすればよいのでしょうか。

借入れをした貸金業者を忘れてしまった場合は、信用情報機関に問い合わせれば、過去にどの貸金業者と取引をしたか知ることができます。

信用情報機関に登録されているデータは本来、貸金業者や金融機関などが融資の審査をおこなう際に参考にするものですが、個人の方でも開示請求をおこなえば、どの貸金業者から借入れをしていたか知ることができます。

信用情報の開示方法と信用情報機関の種類

アコムやプロミスなどの貸金業者は信用情報機関への加入が法律で義務づけられています。信用情報機関というのは借金などの取引における、借主と貸主の情報を、管理及び提供する第3者機関のことです。

この機関を取引の間に挟むことで、借主と貸主双方に無理のない安全な取引をおこなうことができます。そして貸金業者だけでなく、この信用情報機関に対しても取引履歴の開示などをおこなうことが可能です。

ここでは信用情報機関の情報開示に関する情報と、各機関ごとの情報開示の申し込み方法について説明します。

情報開示には手数料がかかる

信用情報機関に対して情報開示をおこなうには一定の手数料がかかります。また一部を除いてはインターネット、郵送、窓口で情報開示の申し込みが可能です。

どの申し込み方法も基本的には1000円以内に収まる金額なので、情報開示を申し込んだからといって費用が高額になるという心配はありません。

ただしもし現姓と旧姓の情報が必要な場合は、手数料が名前2つ分必要になります。

代理人でも情報開示はできる

信用情報機関に対しての情報開示は本人だけではなく、代理人でもおこなうことができます。しかし代理人といっても法廷代理人か任意代理人か、どの情報開示方法を選ぶかなどによって必要な書類などに違いがあります。

したがって信用情報機関に代理人として情報開示を申し込む際には、あらかじめ自分がどの代理人にあたるのかや、情報開示の方法、必要な書類や手数料などを把握しておきましょう。

信用情報機関は3つある

貸金業者での借入れ情報についての情報開示が可能な会社は主に3つあります。まず1つは株式会社日本信用情報機構(JICC)です。JICCは国内で最大規模の信用情報機関の1つです。

平成22年3月には貸金業法に基づいた指定信用情報機関として、内閣総理大臣から指定されました。また全業種横断型信用情報機関のシーシービーと統合したことで、国内で唯一全業態を網羅できる基盤を持った会社でもあります。

そのため加盟している企業も多く、保証・リース会社や金融機関、消費者金融など合計1200社以上がJICCの加盟会員です。

このうち消費者金融は、JICCの加盟会員中約54%を占めており消費者金融とは関りの深い信用情報機関であるといえます。保有する消費者金融の信用情報も多く、約210兆円の登録残高の情報を扱っています。

2つ目の信用情報機関は株式会社シー・アイ・シー(CIC)です。CICはクレジット会社の共同出資によって、昭和59年頃に設立した、割賦販売や消費者ローンなどの事業をしている企業を対象にした信用情報機関の1つです。

そしてCICは割賦販売法及び貸金業法に基づいた、指定信用情報機関として、内閣総理大臣と経済産業大臣から指定を受けた唯一の機関でもあります。

割賦販売というのは分割払いを主とした販売形式のことで、クレジットカードでの分割払いなども割賦販売に該当します。

3つ目の信用情報機関は全国銀行個人信用情報センター(KSC)です。KSCとは消費者信用などを円滑にするために、一般社団法人全国銀行協会が設立し、運営している個人信用情報機関のことです。

クレジットカードやローンなどの個人信用情報を扱っており、これらを全国の会員に対して参考資料として提供しています。

借入情報などの登録期間は契約期間中及び契約終了日から5年が経過するまでで、それを超えると情報は自動的に削除されていきます。したがってKSCに情報開示をする際には借金などの完済日から5年が経過する前に、情報開示を依頼してください。

株式会社日本信用情報機構(JICC)に情報開示を申し込む方法

JICCで情報開示を申し込む方法はインターネット、郵送、窓口の3つです。インターネットと郵送にかかる手数料は1000円、窓口は500円で受け付けています。またそれぞれの方法によって情報開示に必要な書類が違います。

まず窓口での情報開示の場合は、手数料と運転免許証などの本人確認書類だけで情報開示が可能で、開示情報もすぐに受け取れます。

郵送の場合は信用情報開示申込書という書類が必要になります。ただし郵送の場合手数料は手渡しができないので、定額小為替証書かクレジットカードでの支払いになるのでご注意ください。

更に郵送の場合は、開示情報が届くまでに10日前後かかるので、すぐに手元に情報が欲しい時は窓口で手続きをしてください。

またその他の注意点として、本人以外の代理人として情報開示の申し込みをおこなう場合、代理人の種類によっては本人が申し込む時よりも、必要な書類が増えるという点が挙げられます。

したがって代理人として情報開示を申し込む場合は、JICCの公式サイトなどをチェックして、必要になる書類を把握しておきましょう。

手続きが面倒な場合は、スマートフォンなどでインターネットを使用して情報開示をおこなうという方法もあります。その方法を利用するためにはまず、JICCの提供するアプリをスマートフォンなどにダウンロードする必要があります。

そしてそのアプリを使ってマイナンバーカード(個人番号カード)や運転免許証などの、個人が特定できる書類の画像を送り、生年月日などの情報を各項目に記入することで、後日開示結果が郵送されてきます。ただしこの時に使用する画像は、マイナンバーに関する通知カードでは証明にならないので注意してください。

またこの方法で情報開示を申し込んだ場合の手数料は、クレジットカード、コンビニエンスストア、金融機関のATM、オンラインバンキングなどからの支払いになります。

株式会社シー・アイ・シー(CIC)に情報開示を申し込む方法

CICに情報開示を申し込む方法と手数料や必要書類などは基本的にJICCと同様です。ただしインターネットで情報開示する場合においては、JICCと違いスマートフォンだけでなくパソコンによる開示も可能です。

ただしこの方法は基本的にクレジット契約をしている場合に限ります。具体的な方法としては、クレジット契約の際に利用した自分の電話番号から、CIC指定の番号に電話をして受付番号を取得し、それをパソコンで入力するだけです。そうすると情報開示されたPDFファイルがダウンロード可能になります。

全国銀行個人信用情報センター(KSC)に情報開示を申し込む方法

KSCはインターネットと窓口での情報開示をおこなっていないため、KSCに情報開示をおこなう方法は郵送の1つだけです。郵送の手数料は定額小為替証書での支払いで1000円になります。また本人と代理人などでそれぞれ必要な書類は、基本的に上記の2つの会社と同じです。

ただしKSCでは平成27年1月以降に、それまで相互に情報の開示をおこなっていたJICCとCICとの交流を取り止めたため、JICCやCICとは開示される情報に違いがある場合があります。したがって稀に欲しい情報がKSCにはなかったが、JICCやCICにはあるということがあるため、その点にはご注意ください。

専門家に依頼すれば明細・契約書・カードがない、借りた業者を忘れた場合でも手続きできる

借金関係に強い司法書士や弁護士などの専門家に依頼すれば、明細や契約書、借入の際に使用したカードなどがなくても、過払い請求の手続きをすることができます。

お金を借りていた会社さえ分かれば、専門家は消費者金融への取引履歴の開示や、信用情報機関などへの情報開示などの、法律的な権利を使って調査をします。

そして借入の情報さえあれば、引き直し計算をし過払い金の金額を容易に算出してもらえるのでスムーズに手続きがおこなえます。

仮にお金を借りた会社が後で社名を変更していたとしても、前の会社名さえ覚えていれば専門家に簡単に見つけ出してもらえます。

また過払い金は、平成18年の1月に利息制限法を超える金利は違法であるため、そういった金利で貸し付けていた会社は過払い金を返還しなさい、という判例が最高裁判所で出されています。そのため法的に正当な要求と認められることがほとんどどです。

したがって司法書士や弁護士などの専門家をたてて、貸金業者に過払い金を要求した場合、法的に勝ち目がないことを理解している貸金業者側は、素直に応じる可能性が個人の時よりも高くなります。

そのため個人で過払い金を請求するよりは、専門家に依頼した方が確実性が高く、戻ってくる過払い金が増える可能性もあります。

その際にかかる費用などについても過払い金請求の場合は、取り戻した過払い金から清算する事務所を選択すれば、失敗して無駄にお金を払うということもありません。

過払い金請求・明細、契約書、カードについてよくある質問

過払い金請求・明細、契約書、カード よくある質問1

Q:借入れをしたときの契約書(申込書)がないのですが過払い金請求できますか?

A:できます。契約書がない場合でも貸金業者に対して取引履歴の開示をおこなえば、過払い金の計算ができますので過払い金請求はできます。

過払い金請求・明細、契約書、カード よくある質問2

Q:当時使っていたカードをなくしてしまったのですが過払い金請求できますか?

A:できます。過払い金請求にはカードは必要ありませんので、貸金業者から取引履歴を取り寄せてください。

過払い金請求・明細、契約書、カード よくある質問3

Q:明細が1つもないのですが過払い金の計算はできますか?

A:できません。過払い金の計算には取引履歴が必要になりますので、過払い金の計算をおこなう貸金業者から取り寄せてください。

過払い金請求・明細、契約書、カード よくある質問4

Q:貸金業者を忘れてしまった場合、過払い金請求はできませんか?

A:できます。信用情報機関に問い合わせることで、どの貸金業者と取引があったかわかりますので、その情報をもとに手続きをすることができます。

過払い金請求・明細、契約書、カード よくある質問5

Q:みどり法務事務所では、契約書や明細などがない、借りた貸金業者を忘れた場合でも対応可能ですか?

A:可能です。当事務所では、無料で過払い金の調査・計算をおこなっているので、お気軽にご相談ください。

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