個人再生の小規模個人再生とは?
借金にお困りの方で、任意整理では対処しきれない場合は、個人再生という債務整理を視野に入れることになります。実際に個人再生を行いたいと思っていても、どんな手続きが必要なのかわからないと不安ですよね。
また、個人再生には「小規模個人再生」と「給与所得者等個人再生」など手段が分かれていることもあり、自分にはどちらが適しているか判断するのも難しいと思います。今回は個人再生の小規模個人再生について詳しくご説明していきます。
■もくじ
小規模個人再生は自営業を対象とした個人再生制度
個人再生の中には、「小規模個人再生」「給与所得者等再生」という2種類の手続きがあります。小規模個人再生では、サラリーマン以外の自営業などを対象とした制度になっています。
小規模個人再生では、民事再生法に基いて、「個人である債務者が将来、継続的に収入を得る見込みがあり、5,000万円以下の借金がある場合、裁判所を介して再生計画を提出し、認可されれば原則として5分の1まで減額されます。(民事再生法221条1項)」とあります。
このように大幅に減額してもらえる制度となっておりますが、手続きを個人で行うので難しいので、司法書士や弁護士に依頼をして再生手続きを行います。
小規模個人再生の手続きをするための要件
小規模個人再生を行うには、個人再生の要件をクリアしていることに加えて、いくつか要件がありますのでご説明します。
再生手続開始原因がある | 債務者が借金の支払いができない・事業の継続に著しい支障を来すことなく借金を返済できないという事実が必要です。 |
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棄却事由に該当しないこと | 民事再生法25条に基づき、 ・再生手続の費用の予納がない。 ・裁判所に破産手続又は特別清算手続が係属し、その手続が債権者の一般の利益に適合する。 ・再生計画案の作成 ・可決の見込み又は再生計画の認可の見込みがないことが明らかである。 ・不当な目的で再生手続開始の申立てをした。 ・申立てが誠実にされたものでない。 |
債務者が個人である | 民事再生法221条1項、239条1項に基づいています。 |
債務者が将来、継続的に収入がある | |
負債総額が5000万円以下である | |
再生債務者が債権者一覧表を提出している | 221条3項、244条に基づきます。 |
小規模個人再生を行うことを求める旨の申述をする | 22条2項に基づきます。 |
こちらの要件を満たしていないと小規模個人再生は行うことができません。申し立てを行い、再生手続き開始が決定すると、再生計画案を提出し、貸金業者などの債権者による決議が行われます。
再生計画案の認可(不認可)決議
小規模個人再生手続きでは、再生債権者による再生計画案の決議が行われます。この決議では、再生計画案が適しているか判断されます。
これによって、再生計画案が可決されれば、借金の減額が行われ、返済が始まります。しかし、再生計画案が否決されると不服申し立てをするか、自己破産を視野に入れる必要があります。
再生計画案が否決される条件として、「不同意回答をした議決権者が議決権者総数の半数以上である場合」と「不同意回答をした議決権者の議決権の額が議決権者の議決権総額の2分の1を超える場合」となっています。
小規模個人再生のリスク・留意点
次に、小規模個人再生手続を進めていく上で、の留意点をご説明します。
個人再生は債務者とってとてもありがたい制度となっていますが、留意点も把握したうえで自分に適しているかどうかも考慮して選択していきましょう。
債権者の意向によって減額されないこともある
先ほども述べましたが、小規模個人再生手続では、個人再生を行うための要件が満たされていても、借金を減額することを金融業者等の債権者が全体の半分以上反対した場合、または、同意しないものの債権額が総債権額の2分の1を超える場合には、借金の減額自体が認めてもらえないこともあります。
もし、否決される恐れがありそうな場合は司法書士や弁護士とも相談して、小規模個人再生手続ではなく、給与所得者等再生や自己破産も視野に入れる必要があります。
個人再生手続きにおける借金返済の最低弁済額がある
個人再生手続における借金の減額の基準です。これを参考に、自分の借金がどの程度減額され、最低弁済額があるか参考にしてみてください。
100万円未満の場合 | 減額なし |
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100万円以上500万円未満 | 100万円 |
500万円以上1,500万円以下 | 5分の1 |
1,500万円以上3,000万円以下 | 300万 |
3,000万円以上5,000万円以下 | 10分の1 |
減額され、残った借金は最低弁済額です。貸金業者などの債権者に「最低このくらいの金額は返済していってくださいね」というものです。また、「清算価値」という手持ちの財産をすべて現金に清算した金額も影響していきます。
例えば、預金が60万あり、時価50万ほどの価値のある自動車を保有していたら、清算価値は110万円となります。(預金60万+自動車50万=110万)
その場合、借金総額が300万だった場合の最低弁済額が100万円だったとしても、清算価値である110万円が最低弁済額になります。
清算価値には預金や自動車以外にも、株などの有価証券、保険の解約返戻金など、現金に換価可能な価値のある財産はすべて含み、最低弁済額を決定します。このように、清算価値が最低弁済額になるという制度を、「清算価値保障の原則」といいます。
これは債権者が貸したお金をできるだけ返してもらえるようにある制度です。個人再生では原則保有財産が処分されてしまうことはありませんので、持っている財産分を最低弁済額にして、債権者にも公平を来すためにあります。
給与所得者等再生との違いは「強制力」
給与所得者等再生手続とは、サラリーマンを対象とした手続きです。給与所得等個人再生手続では、貸金業者等の債権者が再生手続きを認可することによって債権額が減額されることに反対意見を言ったとしても、借金は減額されます。
ですので、給与所得等個人再生は、小規模個人再生よりも借金の減額がしやすい手続きとなります。そのための条件としては、定期的な収入があり、その額の変動が小さいと見込まれることなので、毎月の売上金が大幅に増減してしまう場合は難しいでしょう。
自分が再生計画案を否決されてしまう恐れがあると考えている方は、まず司法書士や弁護士に相談をして、どのように進めていくのがいいか検討してみるのがいいでしょう。
小規模個人再生手続に迷ったら、お気軽にみどり法務事務所に相談へ
個人再生をこれからやっていきたい、と考えた時、わからないことがたくさんあると思います。司法書士や弁護士事務所の無料相談で、話を聞いてもらい、自分に合った手続きの手段を決めていきましょう。みどり法務事務所は相談料無料でお話を伺います。お気軽にお問い合わせください。